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ブラックマス(BM)のリサイクル工程を徹底解説

~使用済み電池から再び資源へ~

近年、EV(電気自動車)やスマートデバイスの普及により、リチウムイオン電池の使用量は飛躍的に増加しています。

それに伴い、電池のリサイクル需要も急速に拡大しています。

中でも「ブラックマス(Black Mass)」は、電池リサイクルにおける中核的な存在として注目されています。

本記事では、ブラックマスがどのように生成され、どのようなプロセスを経て再資源化されるのか、

そのリサイクル工程を詳しく解説します。


ブラックマス(BM)とは?

ブラックマスとは、使用済みのリチウムイオン電池を破砕・粉砕し、分離工程を経た後に得られる、

金属を豊富に含んだ黒色の粉末状の中間素材です。

主に以下の有価金属が含まれています:

  • リチウム(Li)
  • コバルト(Co)
  • ニッケル(Ni)
  • マンガン(Mn)
  • 炭素(グラファイト)など

このブラックマスは、金属資源として再利用されるための「原料」として扱われています。


ブラックマスのリサイクル工程(全体フロー)

ブラックマスのリサイクルは、以下の工程に分かれます。

1. 電池の収集・前処理

  • 回収された使用済みリチウムイオン電池は、安全のため放電処理を行った後、外装を除去し、内部を破砕・粉砕します。

2. 物理分離(メカニカル分離)

  • 粉砕された電池素材から、銅・アルミホイルなどの金属片やプラスチックを取り除きます。
  • この過程で、BMが生成されます。

3. 化学処理(湿式 or 乾式)

湿式製錬(Hydrometallurgy)

  • 酸(硫酸など)を用いてBMを溶解し、目的の金属イオンを抽出。
  • 溶液中から沈殿や溶媒抽出などにより、リチウム・コバルト・ニッケルなどを個別に分離・回収。

乾式製錬(Pyrometallurgy)

  • BMを高温炉で焼成・還元し、金属をスラグとマットに分離。
  • 炉内で得られる金属合金をさらに精製することで回収。

※近年では、エネルギー効率・回収率・環境負荷の観点から「湿式製錬」が主流になりつつあります。

4. 精製・製品化

  • 抽出・分離された金属は、さらに精製され、電池材料(正極材、負極材)として再利用されます。
  • 一部の炭素や金属は他の産業用途にも活用されることがあります。

リサイクルの技術的課題と今後の展望

ブラックマスのリサイクルは高い技術力を要する分野であり、以下の課題があります:

  • 含有成分のバラツキ(電池の種類や劣化具合により変化)
  • リチウムの高効率回収(リチウムは特に分離が難しい)
  • 処理プロセスのコストとエネルギー効率
  • 環境負荷(排水処理、廃ガス処理など)

これらの課題に対応するため、各国・各企業が独自のリサイクル技術を開発しており、処理効率の向上とコスト低減、環境配慮の両立が今後の鍵となります。


ダイネンマテリアルの取り組み

ダイネンマテリアルでは、インドを拠点に、安定した品質のブラックマスの製造と、金属回収プロセスの最適化に取り組んでいます。

  • 品質管理を徹底した処理プロセス
  • 多様な原料に対応した技術設計
  • グローバル市場(特にアジア・欧州)への安定供給体制
  • 将来的な直接輸出(例:中国)に対応する準備

を進めており、今後も再資源化技術の進化とともに、より持続可能なリサイクルの実現を目指します。


まとめ

ブラックマスのリサイクルは、資源循環・脱炭素社会の実現に欠かせない重要なプロセスです。
ダイネンマテリアルは、グローバルな視点と現場力を活かしながら、信頼されるパートナーとして、

次世代の資源リサイクルに貢献してまいります。