キーワード: ブラックマス、炭酸リチウム、水酸化リチウム、リチウム回収、電池リサイクル、LFP、NCM

なぜ「どちらを回収するか」が重要なのか
EV電池のリサイクルで得られるブラックマスから、最終的に回収されるリチウム化合物には
炭酸リチウム(Li₂CO₃)と水酸化リチウム(LiOH)があります。
この選択は単なる化学形態の違いではありません。下流用途・市場性・収益性を大きく左右する戦略的判断です。
基本特性の違い
| 項目 | 炭酸リチウム | 水酸化リチウム |
| 化学式 | Li₂CO₃ | LiOH・H₂O |
| 安定性 | 高い | 吸湿性あり |
| 回収 | 比較的シンプル | 追加工程が必要 |
| 価格 | 標準 | プレミアム(10-30%高) |
用途による明確な棲み分け
🔋 炭酸リチウムが選ばれる用途
- LFP(リン酸鉄リチウム)電池:中国市場で急拡大中
- セラミック・ガラス:工業用途で安定需要
- 医薬品原料:双極性障害治療薬など
→ 中国LFP市場向けなら炭酸リチウム
⚡ 水酸化リチウムが選ばれる用途
- NCM/NCA系高ニッケル電池:欧米プレミアムEV向け
- 航空宇宙分野:CO₂吸収材など
- 高性能潤滑剤:特殊用途
→ 欧米高性能電池市場向けなら水酸化リチウム
市場動向と収益性
価格トレンド
- 水酸化リチウムは一般的に高価格帯
- しかし近年はLFP需要急増で炭酸リチウムも上昇傾向
- 重要なのは価格差よりも「安定したバイヤーの確保」
出口戦略の考え方
ケース1:中国市場向け → 炭酸リチウム/大量需要対応/コスト競争力重視
ケース2:欧州市場向け → 水酸化リチウム/EU規制対応/トレーサビリティ重視
ケース3:柔軟な供給体制 → 炭酸リチウムで回収→必要に応じて転換
まとめ
炭酸リチウムと水酸化リチウムの選択は、市場戦略そのものです。
ブラックマス回収の成功は、「どう回収するか」だけでなく「誰に、どの形で届けるか」までを
見据えた設計にかかっています。
ダイネンマテリアルは、豊富な取引実績とグローバルネットワークで、お客様のリサイクル事業を支援いたします。